こんにちは!刈谷市のパーソナルジムAct.代表トレーナーの竹内です!
夏が近づくと耳にする「熱中症」。
でも、熱中症って、どうして起こるのかを本当に理解していますか?
今回は、スポーツを頑張っているお子さんを持つ保護者の方にこそ知ってほしい、熱中症のメカニズムと予防法についてお話しします。
熱中症とは?
熱中症とは、高温多湿な環境で体温調節がうまく働かず、体内に熱がたまりすぎてしまうことで起こる障害の総称です。
症状は軽いものから命に関わるものまでさまざま。
主な分類は以下の通りです:
- 熱失神:めまいや一時的な失神
- 熱けいれん:筋肉の痛みを伴うけいれん
- 熱疲労:脱水や循環不全による頭痛・倦怠感・吐き気
- 熱射病:体温が40℃以上に上がり、意識障害が現れる最重症型
出典:日本スポーツ協会『スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック』
なぜ起きるの?熱中症のメカニズム
運動すると筋肉から大量の熱が生まれます。
その熱を、汗や皮膚血流を通じて体の外に逃がす(放熱)のが、私たちの体の仕組みです。
しかし、以下のような過酷な環境条件では、この体温調節がうまく働きません:
- 気温28℃以上
- 湿度70%以上
- 風がなく熱がこもりやすい
- 直射日光が強い
- 照り返しの強い人工芝グラウンドなど
特に湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体に熱がこもってしまい熱中症を引き起こします。
子どもは特に注意が必要!
子どもは体が小さく、表面積が大きいため熱の影響を受けやすいだけでなく、汗をかく機能がまだ未熟です。そのため、体に熱がこもりやすく、体温が急上昇しやすいのです。
特にWBGT(暑さ指数)28℃を超える環境では、思春期前の子どもは大人よりもリスクが高いことが示されています。
予防のカギは「暑さに合わせた運動」と「こまめな補給」
以下が熱中症を防ぐために大切なポイントです:
🔸 環境に応じた運動調整
WBGTを基準に、気温や湿度、風の有無を加味して運動強度を調整します。特にWBGT 31℃以上では、原則として運動中止です。
🔸 こまめな水分と塩分補給
汗には塩分も含まれるため、水だけでは不十分。スポーツドリンクや0.1~0.2%食塩水が有効です。
🔸 十分な休養と睡眠
体調が悪いときの運動は避け、疲労や睡眠不足のときは無理をしないようにしましょう。
🔸 日陰や涼しい場所の活用
クールダウンの時間を取り、日陰やエアコンの効いた場所で体温を下げる工夫を。
■ 応急処置のポイント:「1秒でも早く、体温を下げる」
もしお子さんが熱中症の疑いがある場合、
命を守るうえで最も重要なのは「深部体温(内臓の温度)を素早く下げること」です。
救急車を呼んだとしても、到着までにできる対応が予後に大きな差を生むと報告されています。
☑ 推奨される対応:
- 氷水に全身を浸ける(Cold Water Immersion)
可能であれば、大きな浴槽やタライに15℃前後の水を張り、全身を浸す方法が最も有効とされています。 - 氷水が用意できない場合
→ 全身に水をかけて濡らし、うちわや扇風機で風を当てる
→ 衣類は脱がせ、皮膚から熱を逃がす面積を広くすることが大切です。 - アイススラリーの摂取(意識がある場合)
近年注目されているのが、氷の粒が含まれるドリンク=「アイススラリー」の活用です。
体内からの冷却効果が高く、体温上昇を防ぐための飲む冷却として非常に有効です。
※参考:Casa DJ et al., 2007, Journal of Athletic Training
※日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」より
🆘 救急車が来るまでが勝負
「救急車を呼んだから安心」ではありません。
到着までの10〜15分の対応が、その後の重症化・後遺症の有無を左右します。
保冷剤を脇の下や首の後ろに当てるだけでは不十分です。
体を冷やすではなく、内臓を冷ます意識が重要です。
「うちの子は大丈夫」は危険!
実際には、**気温がさほど高くない日(例:16℃以下)**でも、厚着や激しい運動がきっかけで熱中症を起こした事例があります。
「まだ大丈夫」と思って無理をさせてしまうと、取り返しのつかない事態になりかねません。
最後に:親の「気づき」が、子どもを守る
がんばる子どもを応援するには、「根性」ではなく知識と準備が必要です。
熱中症は、正しく知れば必ず予防できるもの。お子さんの成長を安心して見守るためにも、ぜひご家庭でも今日から実践してみてください。
※参考:日本スポーツ協会. スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック. 令和元年改訂版
※中井秀郎. 熱中症発生実態と環境温度. 臨床スポーツ医学 第41巻第3号(2024)
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